シーズン10が最終シーズンとなることが発表されたのは、本国アメリカの放送直前であり、視聴者の方々や他の人々にとってはごく最近の出来事です。しかし、この番組を構想してきた私たちにとっては、最終シーズンを迎えることは本当に最近の出来事ではないと改めて気づかされました。
そのため、最終シーズンの構成は、第1話から全て、エンディングを迎えるための軌跡を描いています。
ファイナル・シーズンでのレディントンは、今まで以上に逃亡者としての生活を送っています。しかし、レディントンはそのことをあまり気にしていないように思います。そんなことはどうでも良いと考えているんです。彼にとって今重要なのは、生きるか死ぬかという問題です。
彼にはエリザベスの子供であるアグネスというとても大切な人がいます。それとは別に、世界規模で大きな犯罪組織を抱えていて、管理していかなくてはいけません。
全てに関して少しずつですが、欲求も高くなってきています。味覚や食欲も高まっていると思いますが、それ以上に物に対する執着も高くなってきている。その一方で、以前にも増してせっかちになっていますし、過去の経験からより冷酷になったと思います。これからもいろいろなことが起こると思います。
クーパー、そしてデンベとも長い歴史があります。デンベは途中でレディントンと一緒に歩むのではなく、FBIの捜査官としての道を選択しました。この選択はとても良い選択だったと思います。なぜなら、最終的には避けられない終わりがあり、そしてその終わりは、素晴らしい結末ではない可能性もあるからです。 そしてレディントンについて言えば、彼が彼の身近な人々たちを失うことはありません 。
私が初めてパイロットの台本を読んだとき、「10年後が見える」と言ったのを覚えています。10年間通して、それは思い描いていたものでもあり、時には思っていたものと違うものにもなっていました。
そしてそのことが、このシリーズをとても面白いものにしてくれました。最終的な結末への軌跡が見えているように感じても、遠回りをすることによって、様々な出来事が起こり先の展開が分からなくなります。そして、その展開に驚かされます。そういうことの積み重ねが、この作品を面白くしているのだと思います。
この作品の良いところは、これまでにたくさんありました。この作品には、明確なモデル・模範はありません。そして雰囲気もエピソード毎に変わっていますし、ショー全体でさえ紆余曲折した道を選んできました。そのようなところが、このドラマの特徴だと思います。