僕はアレックス・ラッセル。ジム・ストリートを演じている。
このドラマは、SWATのチームの1つである20Dに焦点を当てている。チームは過渡期にいて、知らず知らずのうちに政治的な影響を大きく受けているんだ。警察と黒人コミュニティの対立が起きている、敏感な時期だからね。基本的にパイロット版は、過渡期にいる僕たちを描いている。僕たちはみんな、すごく影響を受けるんだ。
ジム・ストリートは危なっかしいヤツで、何も分からないままチームにやってくる。思いやりがあって根はいいヤツだと思うけど、困った若造で、僕には想像もつかない経験をしてきている。そのせいで周囲と壁を作ったり、仕事のやり方がちょっと特殊だったりするんだ。周囲にしてみれば、控えめに言っても面倒くさいヤツだよ。でも、ジムにはすごく才能があるし、ポテンシャルもある。真面目に取り組めばの話だけどね。
3つはあるかな。まず、トラブルを起こす無謀さという点で言えば、銃を持った犯人に突っ込んでいくシーンだね。一番乗りになりたくて、無鉄砲に突っ込んでいくんだ。あのシーンは、ジムの無謀な性格をよく表していると思う。それから、監督のジャスティンやプロデューサーたちと話し合ったのが、ジムを単なる生意気で横柄な若者として描くべきではないということだ。あの無謀さや危なっかしさがなかったら、誰もジムを好きにならないだろう?だから彼は生き延びて、ここまでの成功を収める必要があるし、チャーミングで愛嬌のあるヤツでなきゃいけない。ムカつくけど憎めないという要素が必要なんだ。
初めて登場するシーンでは、バイクでやってきて“仕事に遅れるから切符は置いといて”みたいな感じだ。あのシーンは、彼の無謀で軽率な部分をよく表していると思うね。ジムは元々、好感が持てる人物だ。彼の本来の性格は、シリーズを通してもっと描かれていくと思うけど、パイロット版でも描かれている。ジムとホンドーが朝早くに出勤してきたシーンだ。ジムの口数は少ないが、ホンドーのおかげでジムのバックグラウンドが明らかにされる。ジムの母親は、バックが刑務所送りにしたんだ。それ以外のことはほとんど語られないが、少年時代の出来事が、その後の彼の人生に影響を与えたことが分かる。それから、ジムを20Dに推したのはバックだということも何となく分かる。ジムにはバックを父親のように思っていた部分もあったんだ。でもジムは、話したくないという反応を見せる。彼が過去について話したがらず、仕事に対する姿勢が浅いという部分は、ジムの本当の人となりを表していると思う。
そうだね。僕がジムに共感する部分はあるよ。彼ほどではないけど、ああいう態度を取ったことは僕にもあるし、誰だってあると思う。何かを誇示したり、嫌な顔をしたりすると、誰だって不快に感じるよね。その場で一番面白いヤツになろうとか、どんな冗談も理解しようとしていた時期が僕にもあったよ。そんなことはしない人でも、ありのままの自分でいることに居心地の悪さを感じる気持ちは分かると思う。僕が思うに、ジムはそういう部分が人の10倍くらい強いんだ。世界中の視聴者はきっと、彼のことを気に入ると思う。面白いし、才能はずば抜けているし、頭もいいし、機敏だし、勇敢だしね。こういった要素は人生を完璧なものにしてくれそうだけど、彼の場合はそう単純じゃない。でも彼の表面的な態度を、みんなカッコいいと思うはずだ。
ちょうどいいタイミングだと、パイロット版の脚本を読んで気づいた。SWATチームの仲間を描いた、アクションがカッコいい作品だ。70年代のドラマはよく知らないんだけど、映画は覚えているよ。パイロット版では、黒人コミュニティと警察の対立が描かれているんだけど、すごくタイムリーだし、きちんと向き合っている点がすばらしいと思った。問題を投げかけ、政治的に扱っているけど、それがすごく根本的な形で描かれている。これはSWATメンバーの日々の様子を描いたドラマだから、自然な形で現実の問題に直結しているのがいいね。
子供の頃、あんなふうになりたいと憧れた対象を、今こうして演じているんだから夢のようだよ。こうして彼らからトレーニングを受けられるのは、本当にすばらしいことだ。かなり現実に忠実に再現しているし、そうなるように注意を払っている。手の位置は正しいかとか、間合いの取り方は正しいかとか、出動要請があった時にどう行動するかとかね。3週間前まで、こうした知識は何もなかったが、みんなすごく楽しんでいるよ。僕たち俳優は、曲がりなりにも全力でSWATを演じたいと思っているし、そういった姿勢がドラマの出来に大きな影響を与えると思う。それに共演者たちとも話していたんだけど、みんなすぐに打ち解けて、冗談を言い合える仲になれたのもよかった。“みんなで心から支え合おう”とシェマーがすごくいいことを言っていた。僕は2016年にグラナイト・マウンテン・ホットショットの活躍を描いた映画に出たんだけど、あの時と似たものを感じたね。
ただ彼らを称賛するだけではなく、みんなに彼らのことを知ってほしかったし、だからこそ忠実に描きたかったんだ。だからこの現場でも、本物のSWATに見えるようにすべての要素にこだわっている。ドラマを見た実際の隊員の人たちに評価してもらえるようにね。僕たちにとっては、それが一番大事なことだ。僕たちは、彼らをたたえ、感謝を伝えたいと思っている。なぜなら彼らは、社会を安定させ、安全に保つために日々、命を懸けているんだから。大事なのは、僕たちが演じている人々に敬意を払うことだ。だから、失礼のないように完璧にやらなくてはならない。