僕はケニー・ジョンソンだ。ドミニク・ルカを演じている。
このドラマはロサンゼルスでのSWATの活躍を描いている。ロサンゼルス市警のSWATといえば、カリフォルニア中の精鋭が集まったトップクラスの準軍事的組織だ。SWATに出動要請が来るのは、犯人がAK47を持っていたり、人質が取られていたり、警察の手に負えない状況に陥った時だね。ルカもSWATチームの1人なんだけど、彼は運転のエキスパートで、署内の腕相撲チャンピオンで、エネルギッシュなヤツなんだ。それにルカの祖父は60年代のSWAT創設メンバーの1人でね。父親もその後を継ぎ、ルカは3代目だ。
そのグループは黒人、ラテン系、白人らで構成されているんだけど、異なる人種で構成されていると僕らは予想していなくてね。ロサンゼルス市警やSWATは連中の目的が分からずに混乱に陥るんだ。僕らはある事件の容疑者の家に踏み込むんだけど、そいつが冒頭のシーンで近隣住民をAK47で撃ち殺した反体制グループの1人だったことが明らかになる。そいつらの追跡中にチームリーダーが誤って少年を撃ってしまい、黒人社会と白人社会の対立を引き起こす結果となった事件だよ。家宅捜索中に僕が裏に回ると、そいつが地下室の裏口から飛び出してくるんだ。僕は慌てて行く手を阻み、そいつの首元をつかむ。するとそいつは空中でひっくり返り、地面にたたきつけられたところに僕が後ろから銃を突きつける。あのシーンはルカの見せ場だね。とにかくカッコよかったよ。それから昨日、ジムでボクシングをするシーンを撮影したんだけど、あれも最高だったね。
ルカは最高のキャラクターだ。すごく活気あふれる人物で、僕自身もそういう部分があるから気に入っているよ。5年ほど関わった「ザ・シールド~ルール無用の警察バッジ~」や「サンズ・オブ・アナーキー」でもそういう人物を演じたし、総合格闘技の選手を演じたこともある。こういうテンションの高さは仕事をする時はなりを潜めているが、仕事を離れた時には感情のはけ口として必要なんだ。
失敗を犯す警官もいれば悪徳警官もいるし、まともな警官もいる。それは世界共通だよ。パイロット版ではある白人警官が誤って黒人に危害を加えてしまうんだけど、それを反政府グループに利用されてしまうんだ。白人コミュニティと黒人コミュニティの両方で暴動を扇動し、ロドニー・キング事件のような状況を引き起こそうとする。僕はアメリカで起こっているすべてのことが、この緊張状態と似ていると思う。でも、SWATチームの多様性を見てほしい。チームにはあらゆる民族の人がいるが、僕らは兄弟なんだ。分かるだろ?例えば軍隊なら、海軍特殊部隊だろうが海兵隊だろうが所属がどこだろうが、隊員同士の絆に肌の色は関係ない。みんな仲間だということを僕たちは伝えようとしているんだ。そこまではいかなくても、僕たちは平和をもたらし、人々を守り、みんなの味方だと示そうと努めている。分断ではなく、手を取り合うことを目指しているんだ
例えば現在のEUは国から国への移動に制限が少ない。だから出入りした人を把握するのは難しいし、身元の確認も行われない。つまりテロリストや指名手配犯も自由に移動ができてしまうんだ。ロンドンで起きたテロは本当に怖かったよ。僕はちょうど、娘とロンドンを訪れていてね。あの橋には20回は足を運んだよ。半年前のことだけど、実際にテロが起きたんだ。恐ろしいことだよ。人々が協力して互いに助け合っていてもテロは起こり得るんだ。だから互いにコミュニケーションを取って、世界中でテロを防げるようになれたらいいと思った。ちなみに、世界中のSWATについて調べたんだけど、ナンバー1はトルコらしい。あの辺の土地には深刻な問題があるからだろうね。そしてナンバー2はイスラエルで、アメリカは3番目か4番目で、その次がロシアだった。SWATというのは市民を守ってくれる存在だ。軍隊の場合、活躍の場は海外だからね。市民が危険な状況に置かれていて警察では手に負えない状況の時、トップクラスのSWATチームが必要不可欠だ。僕たちはそういう存在を演じている。どこの国にもそういう存在は必要なんだ。
このドラマは今の社会における一番の議題に触れていると思う。チームの構成員は全員が白人でも、全員が黒人でも、全員がアジア人でもない。多様性に満ちたチームなんだ。それに仲間同士の愛や絆も描かれているから、それがアメリカのあるべき姿の象徴となればいいなと思っている。それから話の展開も無数に考えてあるよ。悪い連中が登場して色んな問題を起こそうとするんだ。リサーチは入念にしてあるからネタは尽きないね。それに主演はシェマー・ムーアだ。シェマーがどう考えているかは彼が自分で話すだろうし、彼に聞いてくれ。僕の口からは言えないね。